おかね 書評

【書評】日本人というリスク(橘玲)


こんにちは、ミサゴです。

本書は2011年7月に『大震災の後で人生について語るということ』が文庫版として2013年3月に改訂・出版されたものです。

少し古い本でコロナ禍前に書かれたものですが今読んでみても発見があります。また橘玲さんの先見性や、最近出版された書籍の原点とも言える内容もあり、一読の価値ありです。

本書の前半では、日本人として信じられてきた4つの神話がもう通用しない世の中になっている、ということが書かれています。

4つの神話とは以下のものです。

・不動産神話

・会社神話

・円神話

・国家神話

不動産の価値が上がっていく不動産神話、終身雇用が保証されていた会社神話という話は、世間一般で言われるようになり、久しいと思います。

円神話は当時長らくデフレが続いていたこと、国家神話は年金での安定した生活は国が絶対に保証してくれるということです。

円神話の方は、昨今のインフレや物価上昇で次の段階に移行していますが、それも予想されていますね。国家神話も恐れる未来の予兆は表れ始めている気がしますが、身近に感じるような顕在化はもう少し先かもしれません。

これらの神話として信じられてきたことが日本人としてのリスクを作っていると述べられており、その根拠を論理的にバランスシートを用いてわかりやすく説明してくれています。

こういったリスクを感覚的に語ることは素人でもできますが、これをわかりやすく論理的にバランスシートとして説明してくれるのは、橘玲さんの技量ですね。会計の知識がない方でも、本書をゆっくり読み解けば理解できる内容になっています。

本書は日本の40代男性の自殺率の高さにもたびたび触れており、それが前述の神話の崩壊が一因として説明されています。

いま、40代で人生が辛い方、まだ若いけど将来が不安な方にとっては、指針を考える上での一助となる本です。

また最近になり、橘玲さんの書籍を読み始め、本書を読んだことがない方にも是非オススメしたい一冊です。


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misago

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